【完】スマイリー☆症候群



「そうだ! 椿ちゃん、植木くんも誘おうよ」

「え、亮介も?」

「うん」


そう言った笑佳の顔はパアアッと明るく弾んでいて、無邪気な子どもみたいにすっごく可愛い。


「いいわよ、別に」

「ほんと!?」


だって、あんたには敵わないんだもの。

私は喜ぶ笑佳の姿を見て、フッと微笑んだ。


「亮介ー!」

「植木くーん」


丁度教室に戻ってきた亮介を、私達は大声で呼び止める。

すると、私達の声に気付いた様子の亮介は、視線をこちらに向けた。


「何だ?」

「あのね、植木くんも一緒に、清水くんのお見舞いに行かないかなー? って、思って」


笑佳の誘いをよそに、暫く亮介は黙り込む。

その表情は、何とも複雑そうで。


「あんた、どうかした?」


何をそんなに考えてるのか、私にはさっぱりわからない。

と、数秒後。

何か決心したのか、亮介は真っ直ぐ前を見据えた。

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