【完】スマイリー☆症候群
「素晴らしく、最高に美しい“モノ”が俺の眼球に勢いよく飛び込んできたのだ」
そう言った清水の顔は、さっきとは打って変わって、この上ないほど緩んでいた。
やっぱり、清水は清水。少しでも本気で心配した私がバカだったよ。
「で、何? その“モノ”を見るのに必死になったあんたは、無意識のうちに手に力込めすぎてパキッといっちゃったのね? あぁ。それはそれは、大層ショックだっただろーに」
清水の語りに付き合うことに疲れた私は、適当に言葉を並べあしらう。
「違う! 俺に降りかかった災難は、そんな低クオリティーなプロットで成り立つようなもんじゃねぇんだ。少し黙ってろ犬塚。まだ話しは終わってねーんだからよ」
「……はいはい」
早く話を終わらせようとした結果、かえって逆効果に。
もう、いいわよ。ついに私は、声を出す気力を無くした。
そんな私なんかにはお構い無しで、次いで奴は、猛スピードでさっきの続きを語り出した。