【完】スマイリー☆症候群
――……
白取先生の発言通り、ギリギリまでいっぱいに水を入れられたバケツを、強制的に持たされた私達。
「現実世界にこんなこと、本当に有り得たのね……ははは」
多大な脱力感に襲われた私は、やりきれない思いで遠い目をする。
「だよね。私もてっきり漫画の中だけの話だと……」
「俺も……」
「ああ、同じく」
私の呟きにのせた3人の言葉。そんな台詞が撒かれた直後、ドンヨリとした空気が一瞬にして私達を取り巻く。
顔を見合わせた私達は、はーっと深い溜息をついた。
そんな重たい空気を晴らしたのは、とある男の一言だった。
「ん、ちょっ、待て。そういや……京都っていやぁ、あの娘達がいるじゃねーか。何で今まで気づかなかったんだよ、俺!」
突然口を開いた清水。
数分前までのあの沈んだ表情とは打って変わって、何かその目は明るくキラキラと輝いていた。