【完】スマイリー☆症候群



「て言うか植木くん、まさか今まで清水寺の事知らなかったとか……?」

「ああ」


恥じらう素振りなんて1つも見せず、亮介はいつもの表情でそう答える。

どうやら、笑佳の質問は見事的中したみたいだった。


「それに……」


亮介はそう小さく呟いたかと思うと、隣に立つ清水に横目でチラリと視線を向けた。


「な、何故そこで俺を見る!? い、いや、確かに俺の名字“清水”だけどよ!」


突然自分に向けられた視線に、清水は「え、俺!?」と目を丸くして激しく驚く。


「……すまない」

「別に……いいけど……さ」

「じゃあ、二ヶ所目は亮介の意見で、清水寺ってことにする?」


何だか居心地の悪い、異様な空気が流れた廊下の隅。

私はそれを遮って、いつの間にか少し逸れてしまった話から本題に戻した。

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