【完】スマイリー☆症候群
「えーっと、だから……! バレンタイン当日、好きな女の子から本命チョコレート貰いたいっつー、乙女心よりもちょっぴりピュアですこーし夢見がちな、男心というものがあるからに決まってんだろォォォ!」
ほとんど息継ぎなしでさらりと長文を述べた清水は、失った酸素を求めるように肩で息をする。
それにしても何なんだ。
目の前のあいつから嫌なほど伝わってくる、“言い切ったぜ俺!”感は。
とは思ったものの、それを今ここで言えばまたややこしくなる……そう瞬時に察した俺は、敢えて気付かないふりをした。
ん? いや、しかし。
「……そういえばお前、好きな奴なんていたのか? 初耳だぞ」
俺は奴をじっくり見つめる。
先程、何処か無性にひっかかった点を、俺は忘れてしまう前に清水に問い掛けたのだ。