【完】スマイリー☆症候群
響く鼓動と移動バス☆笑佳side
今日は待ちに待った修学旅行の日。
椿ちゃんと清水くんと植木くん。この3人と一緒に修学旅行が出来るなんて、本当に夢みたい。
集合時間まであと1時間あまり。
時が経つとともに、ワクワクした気持ちと、これから待ち受ける楽しい一時に期待が募っていくばかりだ。
「椿ちゃん!」
腰まで届く、長くて綺麗な黒髪を揺らしながら歩く椿ちゃんの姿を見つけた私は、直ぐに椿ちゃんの元に駆け寄った。
「おはよ、笑佳」
「おはよ」
朝が弱いはずの彼女も、今日はニッコリ微笑んでくれる。
「笑佳荷物大丈夫? 重そうだけど……。私、持とうか?」
「ううん、全然平気だよ。そういう椿ちゃんも重たそうだよ?」
「ああ、私はいいのよ。こんなの私にとっちゃあ軽い軽い!」
ニコッと笑った椿ちゃんは、「ほら、どうよ?」と言いながらかばんを頭上に持ち上げた。
「つ、椿ちゃん……大丈夫?」
「も、勿論……!」
少し顔を歪めながらも、とびっきりの笑顔を振り撒いてくれるのは、椿ちゃんなりの気遣い。そして、さりげない優しさ。
そんな彼女の一面が、私は堪らなく好きなんだ。