【完】スマイリー☆症候群
「ありがとうございました」
会計を済ませた私は、椿ちゃん達のお土産と清水くんとのお揃いのストラップを鞄にしまう。
「んじゃ、観覧車行っちゃう?」
「うん。行っちゃおう!」
顔を見合わせ、私達は互いに笑い合った。
――……
「よっしゃァ! 結構空いてんじゃん」
「ホントだ。良かったね!」
前に並ぶのは5組の客。
さっきとはまるで違い、すぐに順番が回ってきそうに感じた。
「そういえば私、観覧車って久しぶりだな」
「俺も。小学生以来かもしんねぇわ」
「……小学生、か」
「その頃はまだ宮永と……植木とも犬塚とも、出会ってなかったんだよな」
……そっか。そうだよね。
私達が出会ったのは、高校に入学してからだったもんね。
「次のお客様、どうぞ」
まるで、しみじみとした雰囲気を打ち破るように聞こえてきた声。
ついにその時はやって来た。
にこやかな笑顔を浮かべる従業員さんは、私達を観覧車の乗り場へと誘導する。
「清水くん、早く乗ろ!」
「おう!」
ドキドキを募らせながら、私と清水くんは、オレンジのゴンドラに入っていった。