【完】スマイリー☆症候群


「わぁ、綺麗」


乗った瞬間から、少しずつ下がっていく地上。

いつもとは違った景色が、私を興奮させる。


「また、来ような」

「うん」

「……今日は宮永と遊園地行けて、楽しかったぜ」

「私も! 凄く楽しかったよ」


ニカリと笑う清水くんに、私も笑顔で返す。

本当に、笑顔の絶えない1日だった。

でも、もしここに椿ちゃんがいて、植木くんがいて。勿論清水くんもいて。

そうしたら、もっと楽しかったのかな。

……あれ?

その時、何故か自分の鼓動が速くなっているのを感じた。

ドキ、ドキ、と激しく脈打っているのが自分でもわかるくらいに。

これは、久し振りに観覧車に乗ったせいなのかな。

それとも、何か別の理由があるんだろうか?


「見ろよ宮永、遂に頂点来ちまったぜ!」

「本当に!」


清水くんの声に促され、私は窓の下を再び見た。


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