【完】スマイリー☆症候群



――……


席に着いてから数分、俺はただじっと謎の封筒を見つめていた。

……封を開けるか開けまいか。

額と手のひらに、じわりと汗が滲む。


「亮介? ……どうしたの、そんな険しい顔して」

「犬塚」


掛けられた声に顔を上げてみると、そこには彼女がいた。


「……実はな」


恐る恐る口を開く。

しかし、突然呟かれた犬塚の言葉によって、その先は遮られた。


「あんた、それって……」

「ああ」


彼女の目線の先には、俺の手元にある白い封筒。

賢い彼女のことだ。これを見つけた瞬間、全てを悟ったのだろう。

難しい顔をして、じっと俺を見る。

そして俺は犬塚を真っ直ぐと見据えると、そっと口を開いた。


「……果たし状がきた」



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