【完】スマイリー☆症候群
「……それにしても、清水が来ないなんて珍しいわね。こういうの一番好きそうなのに」
ニヤニヤと、物陰から黒い笑みを浮かべてる姿が目に浮かぶ。
「それが、今日塾のテストがあるから行けないんだって」
「塾か。それは残念ね」
クスクス、楽しそうに笑佳は笑う。
そっか。2人は……。
にしても、こんな可愛いこを射止めちゃうなんてアイツ、一体どんな手を使ったのやら。
「あ、椿ちゃん静かに」
「へ?」
笑佳は人差し指を口元にやり、じっと前を見つめる。
それにつられるように、私も息をのんだ。
『私、ずっとあなたを見ていました』
ピンクに色付いた頬。
潤んだ瞳は、まさに恋する瞳だ。
『ずっと……。そんなに俺を監視していたのか』
『監視?』
『そして、隙を狙って俺を殺そうと。一体、俺に何の恨みがある』
『えっと、その』
何をやってんの、馬鹿。
今にも泣き出しそうな彼女は、眉を垂らして亮介を見る。