【完】スマイリー☆症候群
突然のことに、頭が回らない。
亮介が私のことをどう思ってるのか……。
正直、凄く気になる。
……だけど、怖い。
私は複雑な心境を胸に抱きながら、そっとその姿を見守った。
『彼女は――』
ドクン。
『とても面倒見の良い、頼りになる女性だ。だから、俺はいつも彼女に世話になっている。……だが、その反面怒らせると非常に厄介な存在だ。その時ばかりは、どうすれば良いかわからなくなる』
……は?
なーに、素っ惚けたこと言っちゃってんの!?
気を張っていた分、何だか、とてつもなく拍子抜けしてしまった。
それと同時に、ふつふつと沸き上がる怒り。
「……っ、厄介で悪かったわねぇ」
「つ、椿ちゃん、抑えて!」
拳を握りながらドスの利いた声でそう言う私を、笑佳は咄嗟に抑制した。
『あの、私が聞きたいのはそういうことじゃないの!』
『む。どういう意味だ?』
『だからね、その……好きとか、嫌いとか』
『好きだが』
『それは、恋愛対象として?』
……っ!
決定的なその言葉。もう、さっきのようなボケた解答は許されない。
私は、唇をギュッと固く結んだ。