【完】スマイリー☆症候群



『正直、よくわからない。だが……』

『何?』

『俺にとって、彼女は特別な存在だ』


……っ!

心臓が、ドクンと大きく跳ねる。

“特別な存在”

その言葉は、私の脳内をグチャグチャにかき乱した。


『……そっか。ありがとう』

『いや』

『あーあ。やっぱ犬塚さんには適わない、か。残念! ……あは。じゃあね、植木くん』

『ああ。こちらこそ、ありがとう』


亮介に笑顔を向けると、その女の子は少し寂しそうに歩き出した。

そこにぽつりと残された亮介は、ただじっと地面を見つめている。

私は何だか、凄く悲しい気分になった。

そんな時――。


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