【完】スマイリー☆症候群



あの子天使な顔して、中身はとんでもない悪魔だわ。

ひとまず、姿を隠すため、私はその場に顔が見えないよううずくまる。

そして、絶対にバレないようにひたすら祈った。

……のも、束の間。


「犬塚、そこで何をしている」


何で気付くのバカー!


「わ、私犬塚じゃないです!」

「? 何変なことを言っているんだ」


ガッ、と腕を捕まれると、彼と目が合った。

その眼差しは、どこかいつもより怖く感じる。

ま、まずい……。


「えっと、私草抜き当番でね……あはは」

「嘘はつかなくていい。君はいつからそこにいた?」


ううっ。全てお見通しってわけね。


「あ、あんたが女の子を待ってる時から、よ」

「ずっとここに? そして、覗きをしていたと」

「それは、ごめんなさい。……でも」

「でも、何だ?」


わかってる。

コソコソ覗きなんて、最低よね。

それでも、私。
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