【完】スマイリー☆症候群



なんて情けない顔。

焦りがまるで隠しきれてない。

……ねぇ、いつもの呆れる程真っ直ぐな顔はどうしちゃったのよ?

困ったように目線を空に泳がせる亮介。

こんな姿、滅多に見たことがない。

私は不意に、クスリと笑い声を洩らした。そして――。


「亮介?」

「……何だ?」

「私はちゃんとわかるわよ。あんたのこと、好きかどうか」


その瞬間、サァァと優しい風が舞い上がる。

心地の良いその風が、私の髪をさらってふわりと靡かせた。

じっと、焦点を1つに定める。

不思議そうなその表情。

……大丈夫。すぐにわからせてあげるから。

そして私は、そっと口を開いた。



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