【完】スマイリー☆症候群
高鳴る感情舞妓さん☆孝治side
――――……
ドクドクドク。
煩く主張する俺の心臓は一向に治まらなくて、緊張のせいか喉がカラカラに乾いて仕方がない。
遂にこの日がやって来た。
ここ数日前からずっと、眠れないほど待ち望んでいた、“修学旅行”という名の最高に素晴らしき時が!
修学旅行……何て素敵な響きなんだろう。
「班ごとに並んでいけ。それから、各クラスの学級委員は必ず点呼をとること」
駅のロータリーにぞろぞろと出てくる、俺達桜凜学園の生徒達。
そんな俺達に、修学旅行の担当教師である三波先生は、淡々と的確な指示を飛ばす。
三波先生こと三波淳弥(ミナミ アツヤ)先生は、20代半ばで、担当教科は理科。
持ち前の整った顔にクールな性格を合わせ持つ彼は、言うまでもないが、女子からの絶大な人気を誇っているらしい。
「三波先生、やっぱりカッコイイね」
「ねー!」
ザワザワと騒ぎ立てる女子群は、あからさまに頬を赤く染める。
「全クラス揃ったようなので、今からクラスごとに別れて、各クラスの担任から指示を受けてください」
学級委員の点呼が全て終わったらしく、いよいよこれから班別学習に突入しようとしている。
フッフッフ……。
この修学旅行で俺が最も楽しみにしていた企画の1つ、班別学習。
おもいっきり楽しんでやろうじゃないか!