【完】スマイリー☆症候群
「よっしゃあ! 行くぜ野郎共!」
マイコサン……まいこさん……舞妓さん!
刻一刻と近づいていく最高の一時を妄想し、俺の魂のボルテージは急ピッチで上昇する。
「熱いね、清水くん」
「ええ。それも、近寄ったら溶けちゃいそうなくらいにね……」
俺の異常なテンションを、2人は冷めた目で見詰める。
……だが。
へんっ! 今は誰に何を言われようが、痛くも痒くもねーぜ。
目指すはそう……愛しの舞妓さんの元、だけなんだからよ!
「清水、舞妓さん行かないのか?」
「え? あっ。や、行く! 勿論行くって!」
まさかの質問を真顔で尋ねてくる植木に、俺は一瞬本気で焦る。
「んな、この俺が行かねーわけねぇじゃんよ」
「……あぁ、確かに。そう言われてみれば、そうだな」
「おう。わかってくれたのか植木!」
半ば強引にも奴を納得させた俺は、延々と「そう、そう」と繰り返し唱え、コクリコクリと何度も頷いた。