【完】スマイリー☆症候群
「清水、さっきのは冗談だから気にしないで」
「冗談……?」
「そして、亮介。清水はね? 笑佳のこと怒らせちゃったと思って、そのお詫びにプレゼント買ってきたのよ」
「っ、犬塚、何でそれを……まさか!」
「ええ。見えてたに決まってるじゃない」
彼女はそう言うと、ピッと2本の指を立て、ピースサインをつくって見せた。
「見えていた……?」
珍しくも、清水は顔を真っ赤にさせながら、頭を抱えている。
今までに見たことのない奴の姿に、俺は動揺を隠せず目を見張る。
「あんたってさ。実は結構、純情ボーイだったるするのよねー」
「ばっ、うっせぇ!」
犬塚の声が響いた、その瞬間。
清水はさっきより更に顔を赤く染め、自分の手で耳を塞ぎ叫んだ。
あの清水の焦りようといったら、相当なものだ。
一瞬チラッと見ただけでも、いつもと雰囲気が違うことがすぐにわかる。
「そうだったの? 清水くん……」
控えめにも、ゆっくりと清水に近づいてきた宮永は、そっと口を開いた。