【完】スマイリー☆症候群
「あ、ああ。その……宮永、さっきはゴメン!」
「そんな、私全然気にしてないよ。だから清水くんも謝らないでよ」
宮永がふんわり笑いかけると清水はホッと溜息をつき、曇らせていた表情を晴れにした。
「あ、そうだ。皆、早く清水寺行こう? 時間なくなっちゃうよ」
どうやら、この出来事は俺が理解出来ない内に、何事もなかったかのように終結したようだ。
宮永に促されるように、目的地“清水寺”まで俺達は走って向かった。
――――……
「おぉ! ここが例の“しみず寺”か」
綺麗な自然の中に、堂々とそびえ立つ、大きなお寺。
風情あふれるその景色とその立ち振る舞いからは、どれだけの由緒ある歴史が築かれたであろうことを物語っていた。
「ってか、植木。しみず寺って何だ? 清水寺だろ! いい加減わざとらしいぞ」
「良くわかったな。わざとに決まっているだろう」
「決まっているだろう。じゃねぇよ」
横目でちらりと苦笑いを浮かべる清水。
まったく、清水は冗談もわからんのか。