【完】スマイリー☆症候群



「あ、ああ。その……宮永、さっきはゴメン!」

「そんな、私全然気にしてないよ。だから清水くんも謝らないでよ」


宮永がふんわり笑いかけると清水はホッと溜息をつき、曇らせていた表情を晴れにした。


「あ、そうだ。皆、早く清水寺行こう? 時間なくなっちゃうよ」


どうやら、この出来事は俺が理解出来ない内に、何事もなかったかのように終結したようだ。

宮永に促されるように、目的地“清水寺”まで俺達は走って向かった。



――――……



「おぉ! ここが例の“しみず寺”か」


綺麗な自然の中に、堂々とそびえ立つ、大きなお寺。

風情あふれるその景色とその立ち振る舞いからは、どれだけの由緒ある歴史が築かれたであろうことを物語っていた。


「ってか、植木。しみず寺って何だ? 清水寺だろ! いい加減わざとらしいぞ」

「良くわかったな。わざとに決まっているだろう」

「決まっているだろう。じゃねぇよ」


横目でちらりと苦笑いを浮かべる清水。

まったく、清水は冗談もわからんのか。
< 82 / 314 >

この作品をシェア

pagetop