【完】スマイリー☆症候群
「ねぇ、ちょっと中入ってみない?」
と、突然話を切り出した犬塚。
「中って、何の?」
「そりゃあ、清水寺の中よ」
……ん? な、何だと!?
そんなっ……清水寺内に入ることが可能だったというのか!
クソッ。俺は何て愚かな人間なんだ。こんな大事なことに全く気付かなかっただなんて。
当然の如く、犬塚の提案に凄まじく興味をもった俺は、「勿論だ」と勢いよく叫んだ。
「私も賛成!」
「あぁ、俺も」
宮永と清水も、その発案に心惹かれたかのように、にこやかに笑いながら同意の意を示した。
――……
「……にしても、凄い人だかりだね」
「……っだな。“流石は世界遺産、清水寺!”って感じだぜ」
早速、清水寺の入り口と言えるであろう、仁王門と呼ばれる大門を潜る俺達。
そこで見た想像を絶する人の多さに、俺は愕然とする。