笑顔だけじゃ物足りないから
「おいっ、祐樹!!お前なんやねん!さっきの!」
ただいま、秀哉に叱られてんのは俺、サイクリングのボケ担当河野祐樹。
「別にええやろ。あんくらい。それにお客さんもそないに気にしてなかったやん。」
お客さん言うても、6、7人ぐらいやけど。
「あれくらいて…。はぁー…、何考え込んどったか知らんけど、次ホンマ頼むで。」
「分かってるわ…。」
俺らは、もう少しで21になってしまう。
俺らがこうして漫才を始めたきっかけは、正直言うと俺やった。
高校んとき初めて知り合って、俺と秀哉が仲良うなった時期。
「なぁ、『お笑い芸人』て、楽しそうちゃう?俺らもやってみるか?笑」
こんな軽い言葉で始まった。
それに秀哉は、
「おん、ええで。笑がんばってみよか。」
そう応えた。