ウソ時々ホント【短編】
私は、額を寄せ合って恋愛の話をするクラスメートには、共感出来なかった。

彼女達は、互いの恋を、協力し、共感し、一緒に一喜一憂することに必死なのだ。
そして、恋愛をしていない存在の方が珍しいらしい。

悪いとは思わないけど、共感は出来ない。

学生の間なんて、恋愛以外で楽しめることはそこら中に転がっているのに、と思ってしまう。
恋愛が嫌いなわけではないし、私だっていつかは誰かを好きになるんだろうって思ってた。

でも、蒼を好きになってわかったのは、私は恋をしても彼女達のようにはなれないって事だった。

蒼と笑い合うのが、楽しい。
一緒に居られるのが、嬉しい。
でも、それ以上特別を望むのは、恐くて出来なかった。

蒼に釣り合う容姿をしているわけでもない。
今の自分を壊したくない。
踏み出して、拒否されることが恐ろしくて。
彼が笑いかけてくれなくなることが恐ろしくて。


私の心は、愚かな自尊心と、臆病な怠惰心でまみれている。
相手を想うふりをして、結局は逃げているのだ。

そんな私が、誰かに愛されるなんて、あるわけない。
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