ウソ時々ホント【短編】
『淋しくないの?』って聞いた時、公佳はその綺麗な髪を揺らし、事もなげに言ってのけたんだ。
『嫌われてるわけじゃないんだし。喋ろうと思えば他の子達とも喋れる。淋しくないよ』
歌うように言葉を紡いだ。
『蒼が傍にいてくれるしね』
そして振り返って、悪戯っぽく笑った。
いつもするように。
『これはホント』
彼女の『ホント』は、滅多に聞けない。
『本当』の中の、『ホント』。
それが僕にしか見せないと言う優越感でも、独占欲でも…
この想いを自覚するには、充分な衝撃だった。
自覚してからは、もっとちゃんと公佳が知りたくて、いつも通りのやり取りを、いつかばれてしまうのではという不安と少しの期待をこめて繰り返した。
公佳は、自分の話をする時、いつも『私、やっぱり汚いんだよ』と言う言葉から始めた。
公佳は自分を美化することなく、冷静に、自分の醜い人間性をわかっていた。
誰にでもあるような、当然俺にだってあるような感情をただ純粋に受け止めて、恥じていた。
俺が見とれていた時、公佳が一人で、人一人に詰め込まれた色んなものと向き合っていることに、話を聞く度思い知るのだった。
『嫌われてるわけじゃないんだし。喋ろうと思えば他の子達とも喋れる。淋しくないよ』
歌うように言葉を紡いだ。
『蒼が傍にいてくれるしね』
そして振り返って、悪戯っぽく笑った。
いつもするように。
『これはホント』
彼女の『ホント』は、滅多に聞けない。
『本当』の中の、『ホント』。
それが僕にしか見せないと言う優越感でも、独占欲でも…
この想いを自覚するには、充分な衝撃だった。
自覚してからは、もっとちゃんと公佳が知りたくて、いつも通りのやり取りを、いつかばれてしまうのではという不安と少しの期待をこめて繰り返した。
公佳は、自分の話をする時、いつも『私、やっぱり汚いんだよ』と言う言葉から始めた。
公佳は自分を美化することなく、冷静に、自分の醜い人間性をわかっていた。
誰にでもあるような、当然俺にだってあるような感情をただ純粋に受け止めて、恥じていた。
俺が見とれていた時、公佳が一人で、人一人に詰め込まれた色んなものと向き合っていることに、話を聞く度思い知るのだった。