KISS ME !
シンダさんはあたしの心情なんて考えていないようで、伸びをしてから頷いた。
「外には?」
「あー、多分無理よ。でもそのうち……なんてね」
今まで外に憧れたことなんてなかった。
どうせまた戦争に巻き込まれるだけだし、家族も友達もいないだろう。集中砲火を受けて生存してる、なんて奇跡なんだから。
だけど、話を聞くとなぜか胸が高鳴った。
行ってみたい。
赤しか覚えのない、外の世界へ。
シンダさんはニッと笑って、あたしに手を差し出した。
「さて、早速行く?」
あたしは笑顔で、その手を握った。