ネモ的、SFファンタジー短編集
うたびと

うたびと

 
 かつて、この国がまだ、小国の集まりだった時代。


 神は人とともに住み、人ともに歩んでいた。


 神の声は絶対であり、神と会話をできる巫女は神と同等の地位を持っていた。


 しかし・・・時代は進む・・・。


 産業革命。


 後にそう呼ばれる、石油機器の発明。


 そして、爆発的に起こる産業化・・・・軍事化・・・・・・・。


 これは、そんな時代の変わり目の物語。


 そうだ・・・・。


 この物語を始める前に説明しておくことがあった。


 人と神をつなぐ存在・・・巫女についてだ。


 なぜ神は『彼女』たちとだけ、交信を許されていたのか・・・だ。


 その理由はいたって簡単。


 神は・・・彼女の『歌声』が好きだったのだ。


 巫女は彼女たちの『歌』のみによって。その交信を許された。


 ゆえに、彼女たちは別名こうも呼ばれている・・・。


< 1 / 187 >

この作品をシェア

pagetop