ネモ的、SFファンタジー短編集

「ん?どうした?」


「あ、いや、なんでもない。」


 そうだった。


 これ一機で町ひとつ・・・壊せちゃうんだよ。


 ・・・・これ一機のせいで私のお母さんは・・・死んじゃったんだよ・・・・・・。


「まぁ、確かに・・・ギアなんてろくなマシーンではないな。」


 私の表情を汲み取ったのか、海人は優しく私の頭にポンと大きな手を乗っけてきた。


 そして、そのまま言葉を続ける。


「こんなでかい図体していれば、町を壊すことも人を殺すことも簡単や。しかもパイロットは安全で快適なコックピットの中でレバーを操作するだけ。痛みどころか、返り血もあびない・・・ゲーム感覚で人を殺せるなんざ・・・本当にロクなマシーンではないな。」


 それは本当に悲しそうな海人の表情。


 テレビで見るギア・ドールはいつも、カッコイイBGMに乗せて、威風堂々と悠然と構えていた。


 整列する姿、空を飛ぶ姿、武器を構える姿、そのどれをとってもかっこよくて、菜々も少なからず、ギア・ドールと言うものに、惹かれたのを覚えている。


 しかし、海人はそんなギア・ドールを見て『ろくなものじゃない』と言う。


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