ネモ的、SFファンタジー短編集

「海人の機体じゃないの?」


 聞いてみたくなった。


 これが、海人の機体ならなんで、そんなこと言うのさ?


 この機体がかわいそうだよ。


「そうや。」


「だったら、なんでそんなこと言うのさ。この機体がかわいそうだよ。」


 せっかく、カッコイイんだから、そんなこと言わないでよ。


 私、別にそんなこと思ってないよ。


「なんや?菜々はギアが嫌いってわけじゃなかったのか?」


 不思議そうな海人の表情。


 確かに、そういう人間がいることは知っている。


 ギアがなければ、戦争だってもっと小規模でこんなにたくさんの人が死ぬことは無かったって・・・この前どこかの大人が話していたことを覚えている。


「別に、そんなことないよ。かっこいいよ。このギア・ドール。名前はなんていうの?」


「・・・・皐月、と一応名づけてるな・・・。」


 かっこいい名前だぁ~。


「ねぇ、中覗いてみていい?」


「下手なところを触らなければな。」


 毛頭そんなつもりはありません。


 私だってそんなに子供じゃありません。


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