ネモ的、SFファンタジー短編集

「お邪魔する。」


 玄関から男の声が聞こえた。


 大きいとも思える足音を立てて入ってくるのは、つい先日もこの家に来たサクラ大尉。


「?」


 今回は一人だけだ。


 護衛を外に待たせているとは、余裕の表れか?


 それとも、何か策があるのか?


「お待ちしてましたよ、サクラ大尉。」


 今回はアルクも席に座って悠々構えるなんて、余裕は見せない。


 今すぐにでも飛びかかれる姿勢で、菜々を囲っている。


「約束どおり、娘を返してもらおうか?」


 緊張した面持ち・・・いや、どこかで余裕の見せるサクラ大尉。


 何かたくらんでいるのか?


 いや・・・この状況で、それほど策を講じることなどできるはずも無い。


 惑わされるな・・・ただのハッタリだ。


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