ネモ的、SFファンタジー短編集

「お父さん!」


 アルクが何か話すよりも早く、キラが何かを言うよりも早く、海人が動くよりも早く、真っ先に動いたのは菜々だった。


 当たり前だ。


 何年ぶりになるかも分からない父との再会。


 飛び出すのも無理はない。


「おぉ・・・菜々!」


 それに対して、先ほどまでの緊張した面持ちから一転、表情を和らげて、しゃがみこむサクラ大尉。


 ・・・・・・・・なんだ、ただの思い過ごしか・・・・。


 この光景を見て、少しだけ海人たちの肩の力も抜ける。


 悪かったな菜々。こんな貧しい家に、いつまでも置いていて・・・。


 これから先、俺たちはどうなるか分からないが、お前は少なくともこれで父と幸せに暮らせる。


 さようなら・・・菜々・・・。


 思った矢先だった。
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