ネモ的、SFファンタジー短編集

「猫を回収しました。」


 軍人の一人が、かごに入ったエルシャンクを手に取る。


 彼らの持つ悪魔の気質を読み取ったのか、かごの中で暴れまわるエルシャンク。


「・・・・・・・・エル・・・・シャンク・・・・・・・・・・?」


 菜々の・・・今にも消え入りそうな声が聞こえた。


 しゃべるな!


 動くな、菜々!


「なんだ・・・生きていたのか?・・・まぁ、それも時間の問題だな。」


 こいつ・・・娘が瀕死の状態で口にする言葉か!


「クソッ!」


 何もできない憤りが、そんな陳腐な言葉になって出た。


 指は銃のトリガーにかかっているのに、撃つべき敵は目の前にいるのに、助けるべき少女が目の前にいるというに・・・。






 動けない・・・・・・・






 あんな陳腐な銀色のカプセルのせいで・・・・・・・動くことが・・・・できない・・・・・。




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