ネモ的、SFファンタジー短編集

「あ・・・・・・・・・キラ・・・・・・・・・・?」


 弱弱しい菜々の声。


 だけど、ココからでも聞こえるしっかりとした菜々の声。


 痛々しい・・・


 耳を防ぎたい。


 目をそらしたい・・・。


 ・・・・・・・・・だけど、それはやってはいけない行為。


 こんな事態を招いたのは他でもない・・・。


 俺たちなのだ・・・・。


「もう、しゃべらなくていい。今病院につれいていくから、大丈夫だから!絶対、助かるから!」


 キラの声は半狂乱に満ちている。


 涙で、顔もぐしゃぐしゃだろう。


「・・・・・・・・・いいよ・・・・・・・・・・・もう・・・・・・・・・・・・・・・・いい・・・・・・・・・・・・。」


「しゃべらないで!!」


 キラの言葉を菜々は聞こうとしない。


 彼女の言葉は続く・・・。


「・・・・・・・・・・・あり・・・・がとう・・・・・たのし・・・・かった・・・・・・・。キラ・・・・・かいと・・・・・・ある・・・・く・・・。」


「ええから、黙ってろ菜々!」


 思わず海人も声を張り上げた。


 アルクは、もう電話を手に取っている。


 しかし、彼女が撃たれたのは左胸・・・・・・・。


 ・・・・・・・致命傷だ・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・助からないのは、誰が見ても明らかだ・・・・・・・・。


< 148 / 187 >

この作品をシェア

pagetop