ネモ的、SFファンタジー短編集

「!」


 耳をつんざくほどの轟音。


 金属同士がぶつかりあう、とても鈍い音が両機の間で鳴り響く。


 加速した威力もあいまって、はるか右後方に吹き飛ぶ敵機。


 そして・・・落下、爆発・・・。


 落ちた場所は、施設内ではなく、演習場と思える広いグランド。


 当たり前だ。


 大雑把だか、それぐらいの計算はしている。


「なんだ・・・あの機体は・・・?」


 再び、敵の声が聞こえた。


 あまりに異質な攻撃法。


 突然の出来事に、残った12体のギアの動きが止まる。


 当然といえば当然の判断。


 蹴り・・・とより、腕以外での身体の一部を使った攻撃なんて、空中で微妙なバランスを保っているギア・ドールにしてみれば、正気の攻撃ではない。


 両者ともに、バランスを崩し地面に落下するのがオチだ。


 しかし、皐月は違う。


 オールマニュアル。


 一切のコンピューター制御を排除して、自らの手で動かすという皐月の特徴が、その技を可能にしていた。


 それぐらいのことの一つや二つも出来なければ、皐月に乗る資格はない。


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