ネモ的、SFファンタジー短編集
「きさまぁ!」
怒りで我を忘れたのか、サクラは、倒れこんだ姿勢のまま半身だけ起こし、銃を乱射してくる。
しかし、そんなパニック状態で、まともに当たるはずがない。
11発残っていた弾は、海人の頬をかすめ、肩をかすめ・・・残りはまったく明後日の方向に飛んでいってしまう。
「あれ・・・?」
もう弾が残ってないことに焦りを感じたのか、既に弾切れになった拳銃のトリガーを必死に引く。
しかしカチャカチャと音が鳴るだけで、弾は出てこない。
その隙を海人は見逃さない。
「ぐっ!」
回し蹴り。
サクラの脳天にクリーンヒットした。
あまりの衝撃にサクラは再度、床に倒れこむ。
その反動で、彼のポケットから、あのときの銀色のカプセルが零れ落ちた。
「あ・・・。」
彼がそんな声を上げるのも無理はない。
必死に手を伸ばし、落ちたカプセルを回収しようとするが・・・。
「こんな物のせいで・・・・・・。」
海人の方が、早かった。
こんなもののせいで・・・。
こんな陳腐な下らないもののせいで・・・・アイツは・・・・・・・菜々は・・・・・・・・。