ネモ的、SFファンタジー短編集
「本当に・・・陳腐なものや・・・。」
それだけ言うと、海人は何の躊躇もなくカプセルを押しつぶす。
音はしない。
感触もしっかりとつぶれたかどうかは分からない。
だけど、確実に今の衝撃でカプセルは破れ、ウィルスが撒き散らされたのだけは、分かった。
「あ・・・あぁ!なんてことを・・・なんというコトを!!」
それを見ていた、サクラが叫ぶ。
が・・・・・・・・・・・。
「あ・・・あぁ!」
突然の半狂乱じみたサクラの声。
当たり前だ。彼の手はどんどん紫色に変色していく。
感染したのだ。
こんな近くにいたから・・・。
普段からウィルスと慣れ親しんでいたから・・・。
それにしても・・・早いな・・・。
まるで、即効性の毒だ。
「ぐっ・・・ぐぞぉ~!」
かゆいのか、床に倒れた姿勢のまま喉をかきむしり、苦しみだすサクラ。
お前にはお似合いの最後だ。
自ら作った毒で死ね。