ネモ的、SFファンタジー短編集
「幸せだったのかな?」


 キラの質問。


「さあね?」


 アルクがそれに答える。


 確かにそんなこと、本人でなければ分かるはずがない。


 でも、出来ることなら、せめて・・・せめて俺たちと過ごした数週間は幸せであって欲しい。


 ・・・・・・・だけど・・・それも傲慢な願いだな・・・・・。


「・・・・・・・・・冷えてきたな・・・」


 風が吹く。


 日もすっかり暮れて、あたり一面真っ暗だ


「そろそろ帰るか・・・。」


 アルクが振り返り、帰路に足を向ける。


「そうだね。」


 キラもそれに同意する。


 同じように振り向くキラ。


 二人が歩き出す。


 海人もすぐに後を追わねばならない。


 だから・・・。


「それじゃあ・・・またな・・・・・」


 海人は、最後に三人に挨拶をした。


 仲間だった菫に・・・


 宿敵だった鈴蘭に・・・


 
< 181 / 187 >

この作品をシェア

pagetop