ネモ的、SFファンタジー短編集
「まだ言うか、貴様ぁ~!」
しかし、ガラドはピストルを腰にしまうと、今度は剣を抜きさる。
「・・・・・・・・魔法すら忘れたのか・・・お前たちは・・・。」
落ちぶれた。
本当に、こいつらはどこまでも落ちぶれている。
産業だが、機械だが知らないが、火を忘れ、自然の大切さを忘れ、おのれの使命を忘れた火の民よ。
お前たちなんかに、俺たちの村が滅ぼされたのかと思うと、本当に報われない。
誰も・・・報われない・・・。
「覚悟しろ、下郎!」
全身で怒りの表情を浮かべ、剣を振り上げるガラド。
「うるせぇよ!愚か者!」
勝負は一瞬。
ガラドの振り上げた剣はおろせない。
当たり前だ。
ガラドの剣を持つ手は・・・・・・・凍り付いていた・・・・・。
「まさか・・・そんな馬鹿な・・・北の民は滅びたはずなのに・・・。」
ようやく気がついたのか・・・遅すぎる。
「火の大切さを忘れるどころか、『火の民』と呼ばれることすら否定するお前には、俺たちを倒すことなんてできない・・・うたびとを恐れていたんだってな。」
馬鹿馬鹿しい・・・。
おのれより強いものを敬うことをせず、ただ怯えて殺すだけ。
それが、産業だというのであるなら、それはあまりに馬鹿げている。
お前たちだって、かつては知っていたはずなのに・・・・・・・。