ネモ的、SFファンタジー短編集
その1
涼しい秋の日のだった。
扇風機も、暖房も要らないすごいやすい日々の中で、二人の男が、向かい合ってラーメンを食べていた。
「なぁ、海人・・・。」
一人は、金髪のぼさぼさ頭、たれ目が特徴のいささか身長が低めの男。
名をアルクという。
「・・・・・なんや?」
もう一人は、黒い短髪の釣りあがった目が特徴の長身の男。
名を海人と言った。
「俺・・・ラーメン嫌いなんだよね。」
・・・・・・・またか。
アルクの発言に、海人はやれやれと大きなため息をつく。
「・・・だったら、食うな。」
彼らの目の前にあるのは、いつもの具なし汁と麺だけラーメン。
今日で4日連続。
いくらラーメン好きでも、いい加減飽きてくるのも仕方ないといえる。
しかし、他の食材を買おうにも金が無いのだ。金が・・・。
贅沢は敵。
海人がアルクの家に来てから2年半、そのキャッチフレーズは変わることが無い。
「だから、肉を食いたいんだよ。俺は・・・。」
いくらそんなことを口にしても、財布の中身は変わらない。
いったい、肉一切れいくらすると思っているのだ?コノ男は・・・。