ネモ的、SFファンタジー短編集
「うるさい、だいたいこいつが金を使うから!」
海人がアルクを指差して怒鳴る。
「何いってるんだ?お前が真面目に仕事をしないから、収入が少ないんだろう?」
アルクが海人を指差して怒鳴る。
第三者から見ればどっちもどっちなのだが、毎日ラーメンしか食べられないというストレスを抱えた二人にはそんなことに気がつくはずもない。
「ハイハイ・・・そんな二人に朗報よ。」
言うが早いが、キラはポケットから一通の封書を取り出す。
電子メールが主体となっている現在では珍しい紙面の手紙。
怪しい内容が書かれているということは、『紙』という媒体を利用しているだけですぐに気がついた。
「なんや?」
キラが持っている封書を眺めて顔をしかめる海人。
「リョ=シリンっていう人からの仕事依頼。読むでしょ?」
リョ=シリン・・・?
あぁ・・・リンババァか・・・。