ネモ的、SFファンタジー短編集

「ハハハ・・・それもそうだ。部下にクビを取られるなんざ、ヤクザとしちゃ末代までの恥だね。」


 笑いながら、リンババァは一枚の写真を机の引き出しから取り出し、海人に向かって投げ入れた。


 写真を見てみると、そこに写っていたのは、首輪をつけた一匹の灰猫。


 首輪には猫の名前と思われる『L=shank』というロゴが入っていた。


 リ=シャンク?


 いや・・・コノ場合は『エルシャンク』と読むほうが、しっくり来る名前だ。


「・・・・・・・・・・・これは?」


 とりあえず訪ねてみる。


「手紙で書いてあったろ?仕事依頼だ。コノ猫を生きたまま捕獲して欲しい。」


 ・・・・・・・・・・それで、3000万?


 この猫一匹で?


「どういうコトや?」


 だとしたら、あまりに腑に落ちない仕事だ。


 このババァ何をたくらんでいやがる?


「言ったとおりさ。猫を捕まえるだけで3000万。美味しい仕事だろ?」


 あぁ、確かにうまい。


 うますぎる。


 それが、逆に怖すぎるぐらいにだ。


「いったい、何もなんや?コノ猫?」


 とりあえず、たずねる必要があった。


 仕事を引き受ける、引き受けないにしろ、相手は猫だ。


 偶然に見つけてしまう可能性だってゼロではない


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