ネモ的、SFファンタジー短編集

「・・・・助けて・・・・。」


 結局そんな言葉しか出せない。


 走りながら、菜々の瞳からは涙が溢れてくる。


 助けてくれる父はいない。守ってくれる母は死んだ。


 一人でやらなくちゃいけない。


 一人で逃げてエルシャンクも守らないと・・・。


「まて、このクソガキ!」


 先ほどまで温かい口調だと思っていた白い服の大人たちも、逃げ出したとたん口調が変わる。


 これが、大人だ。


 これが、大人なんだ・・・。


 怖い・・・怖い・・・・・怖い・・・・。


「誰か・・・助けて~!」


 涙とともに声が出た。


 瞬間。


「!」


 身体が一瞬宙に浮く。


 誰かに抱きかかえられたのだ。


 ・・・・捕まった!


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