ネモ的、SFファンタジー短編集
思った瞬間、菜々の目の前に移ったのは、先ほどの白い服を着た大人たちではなく、一人の見知らぬ若い女性。
「もう、大丈夫だよ。」
涙を流している自分に対してなだめるように優しく頭をなでてくれる一人の大人の女性。
黒い長髪をした優しそうな目をした綺麗な女性だった。
エルシャンクも怯えてない。
・・・・・・助かったの?
「おい、そこの女!・・・その子供が抱えている猫は私たちのものだ。今すぐ離しなさい!」
白い集団が、私たちに追いつく。
しかし、見知らぬ大人が加わったことで先ほどよりは距離を開けているようだ。
「いつから、お前たちはロリコン集団になったんや?」
声は、自分を抱えてくれた女性のものではなかった。
聞いたことの無いイントネーションをもった男の声。
白い集団の後ろからだ。
「!」
突然の声の登場にあわてて後ろを振り向く、白い集団たち。
そこにいたのは、全身を黒い服で包んだ、釣り目の中性的な顔をしている男。
歳は今自分を抱きかかえている女の人と同じ歳ぐらいだろうか・・・。
「お前たち、アトランテのもんやろ?」
男が、白い集団たちをにらむ。
恐ろしい目つき。
・・・・・・・だけど、なんだろう?
あの大人の男性から、どこか寂しさを感じるのは・・・。