ネモ的、SFファンタジー短編集
「猫探しは、諦めたんじゃなかったのかよ?」
・・・そんなこと言われなくたって分かっている。
世界中から一匹の猫を見つけるなんて、奇跡に近い。
それに、万が一見つけたとしても、たかが3000万の金ほしさに世界を売ることなんてできるはずも無い。
「だから、『知るか』って、言うてるやろう?」
目線を合わせず答える。
自分だって分かっているのだ。
コノ状況が非常にまずいことぐらい・・・。
「半年前までは虎神軍に睨まれていたって言うのに、今度はアトランテ軍かよ・・・。」
そこまで口にして、はぁ~と、アルクは大きくため息をつく。
世界を敵に回して何やってるんだ?
言わなくても、アルクのその表情が言っていた。
「だったら、とっととその猫を渡して3000万でも何でも受け取ればええやろう?それで万事解決や。」
少なくとも、それでこの一件は解決だ。
猫を渡して3000万を受け取れば、アトランテ軍から睨まれる心配もなく悠々自適な生活が待っている。