ネモ的、SFファンタジー短編集
「ダメだよ!そんなこと!」
返事はアルクではなく、幼い少女のものだった。
ワザワザ向かなくても分かったが、一応声のした方向に顔を向けると、お風呂から上がったばかりの菜々とキラの姿を見ることができた。
すっかり、小奇麗に洗った菜々の姿は、上気した顔とあいまってとても可愛らしい。
彼女が着ている、子供用の白いワンピースは帰る途中にダグラスおばちゃんに借りたものだ。
後で洗濯して返さないとな・・・。
「おじちゃんたち、さっきエルシャンクをあの悪い人たちにあげようとか言ってたでしょ?ダメだからね、そんなことしたら!」
「・・・・・お・・・おじちゃん?」
そこが、一番答えた。
「ハハハハ・・・確かに、海人もアルクもおじちゃんだわ。菜々ちゃんナイス。」
笑ったのは、キラ。
「お前だって、人のこと言えんやろう?ババァ。」
悔しいから言い返してみる。
「なんか、言った?海人」
・・・・・・・・・・・・・怖っ!
「・・・・・・・・・・スイマセン。」
「海人、弱っ!」
うるせぇ・・・お前、何気にこの中じゃ一番年上の癖に・・・。