あ い た く
「襟元にジンチョウゲが付いてますよ」
「ジンチョウゲ?」
言葉の意味が通じてないようで同じ言葉をただ繰り返す
「花の名前ですよ」
彼から漂う香りの元に手を伸ばし手の平に乗せた
「ほら、この花です」
「あっ」
彼の前に差し出した薄ピンク色の小さな花を見て
思い出した様に声をあげた彼
「ジンチョウゲって言うんだこの花」
「そうですよ、でも落ちるような花じゃないのに何で襟元なんかに…」
原因が分らなくて花をまじまじと見ていると
彼は"あぁ"とあたしの手の平から鞠の様な花を指で転がした