あ い た く
ジンチョウゲの香り
―――カラカラ―――
窓ガラスを開けると何処からか甘い香りがのって来た
外の空気をめいっぱい吸い込んで小さく笑う
「よし、片付け終了」
振り返って部屋の中を見渡す
この家に引っ越してから一週間
やっと部屋らしい感じになった
まだ肌寒さも残る3月
ただ夢もなく上京
「きっといい出会いがあるよね」
窓の外に広がる青い空に向かって呟く
まるで"あるよ"と言うように耳に届いた声
"にゃぁ"
足元に体を摺り寄せるように甘える子
「なぁに?むぎもそう思う?」