あ い た く



どうする事も出来なくて、ただ涙を浮かべて立ち尽くす



「むぎ…むぎ」


「結依ちゃんしっかりして!」



むぎの名前を呼ぶしか出来ないあたしに流生さんが肩を掴む



「むぎちゃんの掛かりつけの獣医は?」


「え?」


「獣医どこ?」


「H町のところ…」



ミントグリーンの瞳が"大丈夫だから"と語りかけてくれる




「ほら行くよ」


流生さんはぐったりしている"むぎ"を抱きかかえると


空いている手であたしの手をひっぱる


< 34 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop