あ い た く
どうする事も出来なくて、ただ涙を浮かべて立ち尽くす
「むぎ…むぎ」
「結依ちゃんしっかりして!」
むぎの名前を呼ぶしか出来ないあたしに流生さんが肩を掴む
「むぎちゃんの掛かりつけの獣医は?」
「え?」
「獣医どこ?」
「H町のところ…」
ミントグリーンの瞳が"大丈夫だから"と語りかけてくれる
「ほら行くよ」
流生さんはぐったりしている"むぎ"を抱きかかえると
空いている手であたしの手をひっぱる