あ い た く
―――ピリリリ―――
隣に立っている流生さんを見上げたとき
流生さんの携帯が震えた
「やべ、会社からだ」
アッシュグレーの髪をガシガシ掻いて"ごめんね"と目配せをして診察室から出て行く
パニックを起こして忘れていたけど流生さんは仕事中だったんだ
しかもトラックまで借りちゃったし
自分の軽率な行動に嫌気がした
「ごめんね、仕事場帰らなきゃ」
呼び出させたのか流星さんは両手を合わせて頭を下げた