きっと、救えるよね。。
自宅に着いても、落ち着かず、いつ?病院から連絡が入ってもおかしくなかったのです。

そして、次の日の朝方に、母と交代して挙げようと、私と入れ変えで、母は一度仮眠を取りに自宅へと帰ると連絡がありました。

うん。おかん疲れたやろう。少しでも眠りや。
今から、私が病院に向かうら。
そして、私が病室に入った瞬間でした。

病室には誰も居なくて、父一人でした。

お父さん…。
っと、顔を覗きに行った時でした。

酸素ボンベに血を吐いたのです。

私は、一瞬慌てましたが、父にとっては、私しか今目の前にいないのです。恐がっている場合ではありませんでした。

吐き出した、血を喉に詰まらせてはと思い、急いで、体を横に傾けました。

ナースコールを押し。
看護師さんに来てもらい。
血を吐き出す父。

この時、私も、近づいてきたんだと確信しました。

父は、もう開けることも、声を出すことも、息をすることも、ほとんどできなくなっていました。

しばらく処置をして頂き、また、家族全員が病院へと集まることになりました。
母と兄は、何があったのか?動揺していました。

血を吐く姿を見たのは、私と、看護師さんと先生だけでした。

母が見なくて良かったと思いました。

なんてことだろう…残酷。
人間は、こんな思いをしないといけないのか。

担当の先生が、私のところに来て、このままでは、生殺しの状態になります。

少しでも、楽になれるように、モルヒネを弱い薬からしますか?

本人は、そうとうの苦しみです。
はい。父が楽になれるなら、死を待つだけなら、楽にしてやって下さい。

母と兄の意見も気かづに、一秒でも早く、苦しみから解放して挙げたかったのです。助かる見込みがあるのなら、断っていましたが。
血を吐く姿は、見ていられませんでした。

モルヒネを投与してから、段々と、父の意識は薄れていきました。

荒い呼吸だけが、病室の中に響いていました。

これでよかったんや。

おとんも解放されたかったはず。

おとん。眠りや…。

私は、最後まで傍にいるし見守っているよ。

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