ビター チョコレート
「来週の土曜日、会ってくれない?」
金曜日の夜、いつものホテルで彼に愛された後、そう私は口にした。
「休日は反則でしょ」
上半身を起こしタバコの煙を吐き出しながら、彼はそう答えた。
彼女がいるのを知っていて、私から関係を持った。
だから、休日は会わない。
別に言われたわけでも、念書を書いたわけでもない。
暗黙の取り決め。
……だから、私は今まで我が儘を言わなかった。
我が儘を言って、面倒な女と思われたくなかったから。