ビター チョコレート




「私、好きだって言ったよ、一番最初に。だから……」


だから……貴方に彼女がいても、私は抱かれたんじゃない。




涙がとめどなく流れてくる。


沢山言いたい事があるのに、言葉にならない。




「一度だけのつもりだったよ」


静かな口調で彼は話し始めた。




「キスしたのは、可愛いなって思ったから。でも抱いたのは、キミが『したい』って言ったからだった。一度だけのつもりでね」


彼は、またタバコに火を着け、口に運んだ。




「でも……離せなくなった。キミの体に溺れた。いつも欲しいと思った」


煙を吐き出すとともに、頭を殴られるような衝撃的な言葉を吐いた。







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