ビター チョコレート
「う……そ……」
私は泣きながらも、震える声で、そう一言呟いた。
「嘘じゃない。本当にキミに溺れてる」
彼の細い長い指が、私の涙を拭い、私の目をしっかりと捕えて、強い口調で切り返してきた。
「なのに……、それなのにキミはいつもどこか冷めていて、捕えてどころがなかった。いや、今も……か」
クッ…と彼は軽く笑った。
「遊ばれてるのは、俺の方なんだと思ってたよ……涙を見るまでは」